第五部 日本海 六

Posted at 07/08/22 Comment(0)» Trackback(0)»

ご住職のお経が
ヤタクンのところまで
聞こえてくるほど
凛とした透き通ったおこえであった

いつの間にかヤタクンの気持ちも
落ち着きを取り戻し
「そうだぼくも
ご住職と一緒に
喜八くんの無事を祈ろう」
とするヤタクンでした

お昼が過ぎ
ゆうがたになり
とうとう暗くなってしまいました

捜索隊はたいまつで明かりを取り
探しましたが手がかりはありませんでした
その日の捜索は打ち切られ
万松院で捜索の見直しが検討されました

「ヤタクン君が飛んできたコースをもう一度教えてくれないか」

とお侍さんに聞かれました

「はい筑前から肥前をとおり壱岐と五島の間を通ってきました」
「すこし遠周りをされたようじゃな」
「それがこんなことになりまして」

「心配なされるな喜八くんは
きっと生きていると
みんな信じてこうしてさがしておるのじゃからな」

「さて明日はわしの感では南の方を重点的に探すことにいたそう」
何かこの立派なお侍には
心当たりがあったのでしょうか

もう薄暗い内から
このお侍さんは
ご住職に
「何かあればのろしを上げますゆえ
吉報をお待ちくだされ」
というが早いか
もう家来を引き連れ馬を走らせました

昼九っにもなろうかとした時
山の上から
「豆酘(つつ)岬からのろしが上がりましたァ」

「吉報でござる、吉報でござるゥ~」
泣きながら降りてくる若武者がいた
よほどうれしかったのであろう

みんな手を取り合って喜んでくれている

ヤタクンは「皆さんありがとうございましたぁ」と
いうがはやいか痛い羽を力いっぱい羽ばたき
南の豆酘岬へ向いました

「喜八くん生きていてくれてありがとう、本当にありがとう」

泣き虫のヤタクンの涙がとまりません

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