第五部 日本海 四

Posted at 07/08/22 Comment(0)» Trackback(0)»

大変なことになってしまった

喜八は少しは泳げますが
なんせ八歳の子供
大しけの海の中で泳げるのか

ヤタクンは気が気では無く
何度も旋回しながら低空で
足をいっぱい延ばしながら
喜八につかまらそうとするのですが
荒れ狂う海の上ではなんともなりませんでした

喜八は一生懸命泳ぎましたが
とうとう力尽きて対馬の海に消えて行きました

ヤタクンは「ごめんね喜八くんきっと探しに来るからね」

泣き泣きヤタクンは
対馬の厳原(いずはら)というところの
万松院(ばんしょういん)という
お寺に向ってひっしに飛びました

やっとのことで山門の上にとまり
大きな声で「かアア~かアア~」となきました

このお寺は対馬藩主
宗家の菩提寺でとても立派なお寺です

たくさんのお坊さんもお侍さんもいらっしゃいますので
直ぐにヤタクンの気配にきずきました

ずぶぬれのなか羽根は折れ
抜け落ちた姿はただごとではありません
ご住職やえらいお侍さんが出てきてくださいました

ヤタクンは生まれた時から
熊野本宮大社の宮司さんにかわいがられ
いつも鸚鵡返しに
かたことのお話しが出来るまでに
訓練されていました
たいへん賢い「からすさん」でした

お寺の中にはすぐに熊野のヤタクンだと
分かる人もたくさんいて
ご住職が「ヤタクンどうしたの」

「はいお手紙を届けるとちゅうに嵐に会いました
もう少しの所で喜八君が海に落ちました」

りっぱなお侍さんが
「今日のこの天気ではさがしようがない
お天気が回復したらみんなで探しましょう」といって下さいました

若いお坊さんが
「ヤタクンまずは疵の手当てをしてあたたかい物でも食べてください」
と言ってみんで手分けをしてヤタクンを
お世話して下さいました

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